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カンボジア税務当局へのVAT還付申請手続

 輸出を主な事業内容とする事業者、QIPの認定を受けた事業者、繰越仮払VATが連続して3ヶ月以上発生した事業者は、仮払VATの還付申請をする事ができます。申請は、毎月のVAT申告書に還付請求額を記載する欄があり、そこに記載し申告書を提出する事によって、行うことができます。
 上記での還付請求後、税務署よりVAT還付請求前税務調査の通知(Notification of VAT Refund Audit Visit)が届き、関連資料の用意が求められます。関連資料の内容には以下のようなものがあります。
・ 輸入税関申告書
・ 輸入関税納税証明書
・ 期末在庫表
・ 在庫表
・ 該当期間の月次申告に添付された仕入一覧及び売上一覧
・ 経費及び売上請求書
・ 該当期間のVAT申告書
・ 輸出税関申告書
 還付までの期間について、税法では還付申請月の翌月末迄に還付を行わなければならないとされていますが(Article 41, Paragraph 3, Sub-Decree on VAT)、実務上は、還付の前に上記の税務調査が行われる為、現実には運用されていません。
 該当期間の月次VAT申告にて申告されている仮払VATについて、国内仕入あれば税法上の要件を満たしたVATインボイス、輸入であれば輸入税関申告書の原本を保持している事が還付を受けるための最低限の条件となります。
 なお、繰越仮払VATが連続して3ヶ月以上発生した事業者については、税法上は還付を受ける資格がありますが、現状税務当局は輸出事業者やQIP認定事業者の方を優先して扱っているようです。

カンボジアのVATの仕入税額控除、還付

 法人等の申告納税方式の適用事業者(Real Regime Taxpayer)は、その事業に行うにあたって支払ったVAT(仮払VATInput VAT)を、その事業からの売上から発生したVAT(仮受VATOutput VAT)から控除が出来ます。また、控除すべき仮受VATが無い場合は、支払ったVATは税法上還付の対象となります。

 VATの納税は月次申告にて毎月行いますが、この月次申告の都度、当月発生の仮受VATから当月発生した仮払VATを控除し、納税を行います。また、控除しきれなかった仮払VATは翌月以降に繰越す事が出来、翌月以降に発生した仮受VATから控除ができます。

 この控除や還付の対象となる仮払VATとして認められる為には、下記等を満たしている必要があります。(Prakas on VAT 272項等)

・ 事業の目的で支払ったものである事
・ VAT登録日から60日超前に発生した取引や輸入にかかるものではない事
・ 国内取引の場合はVATインボイス、輸入取引の場合は輸入通関申告書類の原本を保持している事

 仮払VATの控除や還付は、あくまでも事業目的で支払ったVATについて認められるものですので、事業とは関係のない取引であったり、医療サービス等の非課税取引の為に支払ったVATは、対象として認められません。

 また、以下の取引から発生した仮払VATについては、控除が認められておりません。(カンボジア税法69条、Sub-Decree on VAT 31条、Prakas on VAT 30条)

・ 交際費、遊興費について発生した仮払VAT(事業として提供するサービスが交際費、遊興費に該当する事業を行っている者を除く)
・ 自動車の購入又は輸入(事業として自動車販売を行なう者を除く)
・ 特定の石油関連商品の購入又は輸入(事業として当該特定の石油関連商品販売を行なう者を除く)

 なお、まだ実務面での運用が確認されておりませんが、年度毎に当期中の仮払VATについて、課税売上割合に応じて、控除可能なVATの合計額を算出し、差額についての納付や控除可能額の増額を行なう手続きが規定されております。


請求書発行時の注意点(VATインボイス)


 会社等の法人(VAT登録者)が顧客へ請求書を発行する際、相手方がVAT登録者である場合は、VATインボイスの形式にて請求書を発行しなければなりません。
 VATインボイスの形式である為には、下記の要件を満たす必要があります(カンボジア税法第77条、VATに関する政令第42条、VATに関する経済財政省令第42条)。
  • 連番である事
  • VAT Invoiceである事を示すタイトル
  • 請求書上に下記の記載
    • 売主の名称及びVAT番号
    • 請求書発行日
    • 買主の名称及びVAT番号
    • 取引対象の数量、内容、単価
    • 特定商品・サービス税及びVAT等考慮前の取引金額(VATの課税標準)
    • VATの金額
    • 取引対象の物品やサービスの提供日(もし請求書発行日と異なる場合)

 また、VAT登録者である買主は、VAT登録者である売主に対して、VATインボイスの発行を求める事が出来ます。
 このVATインボイスの発行を怠った場合には、罰則があり、2回以上税務当局によりインボイスの不発行を認められた場合、税務当局は違反の都度、7日間を上限に事業所の閉鎖を命令できます(カンボジア税法第78条)。
 買主がVAT登録者でない場合は、VATインボイスの形式である必要はありません(コマーシャルインボイスと呼ばれます)。

 また、VATインボイスに関連する注意点として、取引が役務提供であり、売主であるVAT登録者がVATインボイスの発行を怠り、要件を満たさない請求書の発行を行なっていた場合、税務当局が、買主側にVAT非登録者からの役務提供を受けた場合に要求される源泉徴収税15%(カンボジア税法第25条第1項a.1)を課す事例が確認されております。
 会社等のVAT登録者は、VAT登録者である売主からの請求書発行を受ける場合は、VATインボイスの要件を満たしているかを確かめ、異なる場合は発行を求める事が重要です。

カンボジアの付加価値税(VAT)

 付加価値税(VAT)は、VAT納税義務者により行われたカンボジア国内での取引に課せられるもので、VAT納税義務者は取引価格の10%を付加価値税として取引時に徴収、翌月に税務署に納付する義務があります。

 税法上、申告納税方式を適用する事業者(Taxpayer under real regime tax system)はVAT納税義務者であり(カンボジア税法第59条)、会社を初めとする法人は、申告納税方式適用が義務付けられておりますので、したがって法人は全てVAT納税義務者です。申告納税方式とは、月次申告及び年次申告の形での申告及び納税を求められている者の事です。

 カンボジア国内での取引の多くはVAT課税対象ですが、税法では、主に社会政策的な観点より、一部の取引を非課税としています。カンボジア税法第57条では、公共郵便サービス、医療サービス、公共機関による旅客輸送サービス、保険サービス等、7項目が非課税取引とされています。また、土地及び貨幣はVAT法上は物品(goods)に該当せず(カンボジア税法第56条)、VAT非課税です。また、輸出取引は0%課税取引として規定され、課税されません(カンボジア税法第64条第2項)。

 VAT納税義務者は、VAT納税義務者である相手方に請求書を発行する時は、VATインボイスの形式である必要があります(カンボジア税法第77条、VATに関する政令(Sub-Decree)第42条、VATに関する経済財政省令(Prakas)第42条)。VATインボイスには、売主、買主双方の名称、VAT番号、インボイス発行日、取引対象の内容・数量・単価等税法に規定された項目が全て記載されている必要があります。このVATインボイス発行の義務を怠った場合、税法上罰則の対象となっています(カンボジア税法第78条)。なお、買主がVAT納税義務者でない場合は、VATインボイスである必要はありません。

 上記の形で買主より徴収したVATは、当月分を翌月に月次申告にて納税する必要がありますが、この申告納税時に当月中に支払ったVATを控除できます(カンボジア税法第65条第1項、仕入税額控除)。控除をする為には上記のVATインボイスを入手している必要があり、税務署によっては月次申告時にインボイスのコピーの添付が要求されています。