カンボジア税法上の滞納手続

 カンボジアにおいて、納税者が税金を納期限までに支払わず滞納した場合の、税務署による納税の請求、滞納処分の手続きがカンボジア税法に規定されています。

 納税者が税金を納期限までに支払わず滞納した場合には、税務署は督促状(Reminder letter of notification for tax collection)を納税者に送達し、納付を督促します。また、税務署は税務調査等の結果、追徴課税等を行う更正通知書を納税者に発した時は、発してから30日以内に、その更正の内容について、徴収部門(Tax Arrears Collection Office)に通知しなければなりません。また、納税者は督促状の内容に不服がある場合には、税務署に対して異議申立をする事が出来ます。

 納税者が、督促状を受領してから15日以内にその税金を完納しない場合は、税務署は納税者の財産の差押及びその財産の換価手続等の滞納処分の執行に入る事が出来ます。税務署は、財産の差押の際には、税金の徴収に必要な財産以外の財産は差し押さえる事が出来ません。カンボジア税法が定める滞納処分には、納税者の保有する銀行口座の凍結、税関による輸出入手続の停止及び輸出入物品の差押、納税者が受けている行政庁からの許認可の取消等が含まれます。また、税務署はその差押財産を換価する時には、公売に付さなければなりません。
 
 以上の滞納処分の執行手続においては、滞納者の財産の調査の目的で、滞納者の事業所や住居等の捜索等が行われる事が考えられます(カンボジア税法第111条第1項にて、税法上の差押の定義として、”confiscation by all means”と規定されています。)が、税法上、特に裁判所の令状や許可等は要求されておりません。