カンボジアの法人税計算においての損金計上について

 カンボジアの法人税にあたる事業所得税(Tax on Profit)の税率は法人については20%ですが、この20%を乗じる対象である所得の金額が大きければ大きい程、税額は大きくなります。この所得は、年度中の売上等の収益(益金)から、売上原価や販売費及び一般管理費等の費用(損金)を控除する形で計算される為、控除できる費用が多ければ多い程、税額は少なくなります。ですので、いかに税金計算上、控除できる費用を増やすかどうかが、税額を少なくする上で重要です。裏返せば、いかに控除が認められない費用を減らしていくか、が重要となります。
 カンボジア税法(“Law on Taxation”)第11条第1項は、この税務上控除できる費用についての総則的規定となっており、「税務上控除できる費用は、当該課税年度中に、事業を行う目的で、支出され又は発生した費用を含む」と規定されています。また、事業所得税に関する経済財政省令(“Prakas on the Profit Tax”)の第5.1条では、税務上控除できる費用として3つの要件を置いており、①当該課税年度中に支出され又は発生した費用である事、②事業を行う目的で支出され又は発生した費用である事、③会計上資産の増加又は負債の減少を伴わない事、と規定されています。
 上記は税務上控除できるかどうか(損金算入できるかどうか)についての原則であり、費用の種類によって、さらに控除できるかどうか、またいくらまで控除できるか、が定められております。
 カンボジア税法第19条は、この控除できない費用(損金不算入項目)についての総則的規定となっています。ここでは、以下の5つが規定されています(便宜上一部省略しています)。
1.一般に遊興、娯楽と考えられている活動又はそのような活動に関係するものの利用に対して発生した費用。
2.従業員個人や家族の生活の目的で発生した費用。但し、給与税の対象となるフリンジベネフィットを除く。
3.事業所得税又は給与税の規定により課税された税金。
4.税法上の関連者との間で行った資産の譲渡取引から、直接又は間接に、発生した損失。
5.既に発生しかつ納税者が費用の額及び事業目的である事を証明できる費用以外の一切の費用。
 次回は個別に損金算入が制限されている項目について、見ていきたいと思います。