カンボジアのフリンジベネフィット(付加給付)税

 カンボジア税法第48条に給与税の一部として、付加給付税(フリンジベネフィット税)の規定があります。従業員に提供された付加的給付の公正価額の20%を源泉徴収し、納税するルールとなっております。この付加給付税の対象となる「付加給付」の定義については、税法本体には規定が無く、「給与税に関する経済財政省令」(Prakas on Tax on Salary, No.1173 MoEF.TD.Prk)(以下、給与税省令)の第3-1条に規定があります。

給与税省令第3-1条第1項には、「付加給付には、物品、サービス、現金その他、雇用主の為の労働の対価として、自然人に直接又は間接になされた給付を含む」との文言がありまして、第2項に対象となる14項目の給付が、例示列挙されております。その中には、すべての種類の車両、食事、住居、水道光熱費、通信費、家事労働代行費用、市場利率より低い貸付等があり、例示列挙であるので、この14項目に限らず第1項に該当するあらゆる給付が含まれます。

3-2条は、車両についての付加給付税の免除規定となっており、業務時間外は業務上のスペースに駐車している事、業務時間外に特定の従業員やその家族の用に供されていないこと、従業員又はその関係者の個人的な業務に利用されていない事、の3点を要件に、付加給付税を免除しています。

特に日系製造業では、労働者の食事代や寮費等を福利厚生として提供するケースが多く、これらはカンボジアの労働者の福利増進、生活安定へつながり、カンボジア経済に好ましい効果をもたらすと考えられます。現状の付加給付税の規定は、このような効果を阻害するもので、ある一定額迄を非課税としたり、一般の給与税と同様の累進税率とする、等の改善が期待されています。