カンボジアでの個人事業にあたっての税務、商業登記上の留意点

 カンボジアで個人で事業を行う場合、事業開始の15日前迄に商業省に個人事業者(Sole Proprietorship)としての登記が必要です(Law on Amendment to Law on the Commercial Regulations and Commercial Register, Article 14 new)。

 また、事業開始後15日以内に、税務署に税務登録を行う必要があります(Law on Taxation Article101)。

 納税には以下の2つの方式があります。

1. 申告納税方式(Real Regime Tax System) での納税

 個人事業者が、申告納税方式での税務申告の対象となるか否かの基準は、その事業活動の種類と売上高によって、事業所得税に関する経済財政省令(Prakas on Tax on Profit, No.1173 MEF.PrK.TD, 31 December 2007)第12.2条に定められております。

 事業活動の種類については、輸出入業又は投資適格プロジェクトについては、売上高に関わらず、申告納税方式での申告が必要と規定されています。※投資適格プロジェクトは現状個人事業者には認められておりません。

 売上高については、事業活動の種類が物品販売、サービス提供、政府契約のいずれに該当するかによって、基準となる売上高が異なっており、そのそれぞれの売上高を超えた場合、申告納税方式での申告が要求されております。

 申告納税方式の適用事業者となると、月次の税務申告が要求され、VAT、源泉所得税、給与所得税の徴収・納付義務、事業所得税の前払義務が発生し、また事業所得税について、年次での発生主義ベースの会計に基づく課税所得、税額計算が要求されます。

2. 推計課税方式(Estimated Regime Tax System) での納税

 上記の基準を満たさない個人事業者は、申告納税方式での税務申告の必要はありませんが、推計課税方式という別の方式によって、事業所得税の納付を行う必要があります。

 推計課税方式での税務申告の概要は以下のとおりです。

・ 毎年10月31日迄に税務当局に対して税務申告を行う
・ 課税のベースとなる推定利益(Estimated Profit)は税務当局が事業者に対して行う質問や確認作業をとおして、利益率や事業活動の種類に基づいて計算される
・ 納税者は税務当局によって決定された税額を毎月支払う

 以上、カンボジアでの個人事業にあたっては、商業省への登記の上で、申告納税方式又は推計課税方式による納税が必要です。
なお、税法上に規定されている簡易課税方式(Simplified Regime Tax System)については、現状まだ運用されていません。