カンボジアでの事業所得者への課税制度は、現状、申告納税方式(Real Regime Tax System, Self-Assessment System)と推計課税方式(Estimated Regime Tax System, Official Assessment System)の2種類があります(税法上、Simplified Regime
Tax Systemについての規定がありますが、現在運用が始まっておりません)。推計課税方式は、申告によってではなく、租税総局による課税処分によって税額が確定する方式(賦課課税)です。
上記の2種類の課税制度のうち、会社を含む法人については、申告納税方式により納税を行なわなければなりません(Prakas on Profit Tax, Article 12.2)。この制度ではVATを初めとする複数の税目についての月次申告、事業所得税(Tax on Profit、≒法人税)の年次申告が要求されます。
個人企業の場合は、下記のいずれかの基準にあてはまる場合は、申告納税方式による納税が必要です(Prakas on Profit Tax, Article 12.2)。
●売上高による基準
・事業が物品販売である場合 年間売上高5億リエル以上(約125,000ドル)
・事業が役務提供である場合 年間売上高2億5,000万リエル以上(約62,500ドル)
・事業が政府契約である場合 年間売上高1億2,500万リエル以上(約31,250ドル)
●事業の種類による基準
・事業の種類が輸出入業又はQIPである
上記を満たさない場合は、推計課税方式により納税を行ないます。
税務登録を行なわず、納税を行なっていない者については、租税総局の決定により税額が確定され、さらに確定した税額の40%の加算税と月2%の延滞税が課せられます。また、他方で、税法上の「税法執行の妨害」に該当し、罰金が科せられます。
特にカンボジア資本の企業については税務登録、納税を行なっていない事が珍しくない現状がありますが、今回発表の概要は、租税総局が今後未登録企業の税務登録を進めていく姿勢を示したものと思われます。