下記が新しい請求書ルールの主な内容です(太字は新ルールで新たに加わったものです)。
● 請求書に下記を記載する事
・ 発行者の氏名又は名称、住所、VAT番号
・ 請求書番号、請求書発行日
・ 請求書の交付を受けた者の氏名又は名称、住所、その者が申告納税方式適用事業者である場合はVAT番号
・ 取引内容、数量、単価
・ 取引対価の金額、VATの金額
● 請求書の印字の質及び紙が保存に適するものにする事
● 請求書の記載はクメール語又はクメール語と英語の併記である事、併記の場合は英語はクメール語の下に記載する事
● 請求書発行時は、申告納税方式適用事業者に対してはタックスインボイス形式、それ以外の者に対してはコマーシャルインボイス形式にて発行する事
● 請求書は事業年度を通じ、通し番号を付番し、10年間保存すること
また、本Instructionでは、請求書について4種類のサンプルを開示しており、①タックスインボイス、②コマーシャルインボイス、③キャッシュレジスターで発行のタックスインボイス、④キャッシュレジスターで発行のコマーシャルインボイス、となっています。
上記の記載要件を満たさない請求書については、交付を受けた事業者は、VAT計算上の仕入税額控除だけでなく、法人税計算上の損金算入も認められません。
特にタックスインボイスについては、商品の引渡時又は役務提供時から7日以内に発行が義務付けられ、発行を怠った事業者については、税法上事業所の閉鎖等の処分が規定されています。
日本においても、消費税課税の適正化に向けて、インボイス方式の導入が議論されていますが、事業者の事務負担を配慮し、経過措置や簡易課税制度の継続が検討されています。新制度の申告納税方式適用事業者には、旧推計課税方式適用事業者が多く含まれており、本ルールの納税者への周知徹底には、かなりの時間がかかると思われ(免税事業者(年間売上高約62,500ドル以下)は上記ルールの適用を受けないと思われます)、要件を満たした請求書を受領する事に非常に手間がかかる状況が続くと思われます。一方、要件を満たした請求書を申告書に添付、保管出来ない場合は、VAT計算上の仕入税額の控除が認められず、また法人税計算上は当該支出は損金不算入、さらに取引内容が役務提供であった場合は源泉税15%が課税され、非常に厳しい取扱いを受ける事となります。節税上上記要件を満たした適切な請求書を受領し、証憑として保管する事が重要です。