2015年12月17日に公布、施行されました2016年度財政法(The Law on Financial Management 2016)にてこれまでの納税制度が大きく改正されました。これまで、一定の年間売上高以下の事業者に適用されていた推計課税方式(Estimated Regime System of Taxation, Official Assessment System)が廃止され、申告納税方式(Real Regime System of Taxation, Self Assessment System)に一本化されました。
新しい方式の下では納税者は年間売上高や事業形態等によって以下の3つに区分されます。
● 小規模納税者 (Small Taxpayers)
個人事業者(Sole Proprietorship)又は組合(Partnership)であり、かつ下記のいずれかを満たす者
・ 年間売上高が2億5千万リエル(約62,500米ドル)超、7億リエル(約175,000米ドル)以下の事業者
・ 事業年度内に終了するいずれかの連続する3か月間の売上高が6千万リエル(約15,000米ドル)超の事業者
・ 翌月以降3か月間の予想売上高が6千万リエル(約15,000米ドル)超の事業者
● 中規模納税者 (Medium Taxpayers)
下記のいずれかを満たす者
・ 年間売上高が7億リエル(約175,000米ドル)超、20億リエル(約500,000米ドル)以下の事業者
・ 法人
・ 地方政府、協会、NGO
● 大規模納税者 (Large Taxpayers)
下記のいずれかを満たす者
・ 年間売上高が20億リエル(約500,000米ドル)超の事業者
・ 外国法人の支店
・ QIP認定事業者
・ 国、外国の大使館及び領事館、国際機関、外国技術援助機関
小規模納税者の売上高基準に満たない、小規模、零細事業者については、推計課税方式も適用されず、納税義務が免除となります。
他方で、これまで推計課税方式が適用され、月次や年次での申告、納税が求められていなかった事業者についても、上記の小規模納税者に該当する場合は、今後月次、年次申告が求められます。
実際の上記納税者区分の適用や区分の変更については、租税総局より今後通知があるものと思われます。
パテント税の改正
2016年度パテント税についても改正があり、上記の3区分に応じて、下記のとおりとなっています。
● 小規模納税者
40万リエル(約100米ドル)
● 中規模納税者
120万リエル(約300米ドル)
● 大規模納税者
・ 年間売上高100億リエル(約250万米ドル)以下
300万リエル(約750米ドル)
・ 年間売上高100億リエル(約250万米ドル)超
500万リエル(約1,250米ドル)
簡易的な方法での会計記録作成
従前の推計課税方式の事業者については、会計帳簿の整備が求められていませんでしたが、小規模納税者に該当する場合は、簡易的な方法での会計記録の作成が求められております。