カンボジアでの税法違反への罰則 ②刑事罰

 カンボジア税法上、税法上の刑事犯については、経済財政大臣の承認のもと、租税総局長は検察当局への刑事告発を行わなければなりません(カンボジア税法第134条)。但し、この規定は後述の税務職員による税法違反には適用されません。
 以下にカンボジア税法が規定する刑事犯を列挙します。

・ 脱税
 カンボジア税法127条に規定する脱税にあたる行為を行った者やその代理人。
 1千万リエル以上2千万リエル以下の罰金若しくは1年以上5年以下の懲役又はその双方

・ 税法執行に対する妨害
 カンボジア税法128条に規定する税法執行に対する妨害にあたる行為を行った者。
 5百万リエル以上1千万リエル以下の罰金若しくは1ヶ月以上1年以下の懲役又はその双方

・ 幇助及び教唆
 他の者に対してカンボジア税法上の刑事犯にあたる行為を故意で幇助したり教唆したりした者。
 自らがそのカンボジア税法上の刑事犯にあたる行為を行った場合と、同じ刑罰が科せられる。

・ 秘匿情報の漏洩
 カンボジア税法94条に規定する秘匿情報の漏洩を行った者。
 5百万リエル以上1千万リエル以下の罰金若しくは1ヶ月以上1年以下の懲役又はその双方

・ 税務職員による税法違反
 税法執行にあたり、自身の立場を利用して、納税者等から金銭や何らかの便益の供与を受けた者、正当な理由なく徴税行為を行ったり試みたりした者等。
 5百万リエル以上1千万リエル以下の罰金若しくは1ヶ月以上1年以下の懲役又はその双方

 以上の刑事犯のうち、特に脱税と税法執行の妨害については、行政罰の適用要件と刑事罰の適用要件が同じであり、刑事罰が懲役刑も含む重いものとなっている事を考えると、非常に問題が大きいと考えられます。