カンボジアのフリンジベネフィット税の免税ルールが公表されました

 2015年1月20日に経済財政省より、”Circular on Implementation of Obligation to Withhold Tax on Salary and Tax on Fringe Benefits”が公表され、工場に勤務する労働者が受け取るいくつかの給付について、フリンジベネフィット税の免税のルールが公表されました。

免税の対象となる給付として、以下の6点が挙げられています。
1.労働法により定められた通勤手当及び住居手当又は工場敷地内にある社宅提供
2.食事手当(残業食事手当を含む)、但し条件が役割や職階を問わず同じである場合
3.法令により定められた範囲内の国家社会保険基金及び社会福祉基金
4.健康保険及び生命保険の保険料及び保険金、但し条件が役割や職階を問わず同じである場合
5.労働法により定められた託児所費用負担又は託児所手当
6.労働法により定められた雇用の終了に伴う退職金及び解雇補償金
 
 本Circularは既に施行されておりますが、例えば「工場に勤務する労働者」のうちの「工場」の定義が規定されていない等、免税対象となる要件が不明確で解釈が困難である点が多々あります。
 解釈上重要な点は、縫製業の労働者に対する労働法上の法定手当である、通勤及び住居手当(月額7ドル)、残業食事手当(残業時に日額2,000リエル)、雇用者による託児所費用負担又は託児所手当等を踏まえている点です。現状の税務当局の見解は上記の免税については、基本的に法定手当の範囲内に限っているようです。唯一例外的に、食事手当は残業食事手当以外についても、平等に支給する事を条件に、免税としています。
 また他方で、同じく縫製業の労働者に対する法定手当である、皆勤手当(月額10ドル)、勤続手当(勤続年数に応じ2~11ドル)については、本Circularに免税対象として規定されておりません。カンボジア税法第44条第3項には「労働法に規定する社会保障的性格を持った追加的給付」については給与税を免除する旨の規定があり、本Circularに記載のないこれらの手当についても、この規定に該当すると解釈できる余地はありますが、税務当局は明確にしておりません。
 また、上記の法定手当は縫製業の労働者に対するものですが、本Circularは縫製業に限定をしていない為、縫製業以外の業種の「工場」で法定と同額の通勤及び住居手当が支給されていても、それは法定手当といえず、本Circularの免税対象となるのか、明確ではありません。
 今後、本Circularに関連する細則の発表が待たれます。