カンボジアの税務調査

 申告納税方式(Real Regime Tax System)にて、納税者によりなされた申告内容の正確性、真実性を確認する目的で、税務当局は税務調査を実施しています。税務当局は、現在、書面調査(Desk Audit)、限定調査(Limited Audit)と包括調査(Comprehensive Audit)の3種類の税務調査を実施しています。
 書面調査(Desk Audit)は、納税者からの申告書の内容の査閲や独自に入手した外部からの情報を通してチェックをするもので、その過程で納税者への電話での質問や確認がなされる事もあります。調査官が会社に来て、質問や帳簿類その他の査閲をする、実地調査を伴わない為、企業側からはこの調査が行われているのかどうかは、分かりません。
 限定調査(Limited Audit)は、年度や税目を限定して行なわれる調査で、通常、実地調査を伴います。また、VATや源泉所得税等、月次申告での申告内容が主な対象となっています。
 以上の書面調査と限定調査は、納税者の住所地を管轄する税務署(Tax Branch)や、QIP取得企業や売上高が一定規模以上の企業を対象とする租税総局本部の大規模納税者課(Department of Large Taxpayer)によって行われます。
 包括調査(Comprehensive Audit)は、複数年度かつすべての税目を対象とした実地調査を伴う調査で、租税総局本部の企業調査課(Department of Enterprise Audit)が担当しています。全ての税目が対象ではありますが、年次で申告を行う事業所得税(≒法人税)が主な対象となっています。
 以上の各種の税務調査は、税法に規定の税務当局による情報入手権(Right to receive information、おおよそ日本の質問検査権に該当)が根拠となっており、調査にあたっては事前通知が原則ですが、脱税の疑いがあり証拠隠滅等の恐れがある場合には、事前通知無しで実地調査を行う事が出来る旨の規定もあります。税務調査に協力をしなかったり、妨害行為を行った場合は、税法上の税法執行の妨害とみなされ、罰則の対象となっています。