カンボジアのVATの仕入税額控除、還付

 法人等の申告納税方式の適用事業者(Real Regime Taxpayer)は、その事業に行うにあたって支払ったVAT(仮払VATInput VAT)を、その事業からの売上から発生したVAT(仮受VATOutput VAT)から控除が出来ます。また、控除すべき仮受VATが無い場合は、支払ったVATは税法上還付の対象となります。

 VATの納税は月次申告にて毎月行いますが、この月次申告の都度、当月発生の仮受VATから当月発生した仮払VATを控除し、納税を行います。また、控除しきれなかった仮払VATは翌月以降に繰越す事が出来、翌月以降に発生した仮受VATから控除ができます。

 この控除や還付の対象となる仮払VATとして認められる為には、下記等を満たしている必要があります。(Prakas on VAT 272項等)

・ 事業の目的で支払ったものである事
・ VAT登録日から60日超前に発生した取引や輸入にかかるものではない事
・ 国内取引の場合はVATインボイス、輸入取引の場合は輸入通関申告書類の原本を保持している事

 仮払VATの控除や還付は、あくまでも事業目的で支払ったVATについて認められるものですので、事業とは関係のない取引であったり、医療サービス等の非課税取引の為に支払ったVATは、対象として認められません。

 また、以下の取引から発生した仮払VATについては、控除が認められておりません。(カンボジア税法69条、Sub-Decree on VAT 31条、Prakas on VAT 30条)

・ 交際費、遊興費について発生した仮払VAT(事業として提供するサービスが交際費、遊興費に該当する事業を行っている者を除く)
・ 自動車の購入又は輸入(事業として自動車販売を行なう者を除く)
・ 特定の石油関連商品の購入又は輸入(事業として当該特定の石油関連商品販売を行なう者を除く)

 なお、まだ実務面での運用が確認されておりませんが、年度毎に当期中の仮払VATについて、課税売上割合に応じて、控除可能なVATの合計額を算出し、差額についての納付や控除可能額の増額を行なう手続きが規定されております。