税法上、申告納税方式を適用する事業者(Taxpayer
under real regime tax system)はVAT納税義務者であり(カンボジア税法第59条)、会社を初めとする法人は、申告納税方式適用が義務付けられておりますので、したがって法人は全てVAT納税義務者です。申告納税方式とは、月次申告及び年次申告の形での申告及び納税を求められている者の事です。
カンボジア国内での取引の多くはVAT課税対象ですが、税法では、主に社会政策的な観点より、一部の取引を非課税としています。カンボジア税法第57条では、公共郵便サービス、医療サービス、公共機関による旅客輸送サービス、保険サービス等、7項目が非課税取引とされています。また、土地及び貨幣はVAT法上は物品(goods)に該当せず(カンボジア税法第56条)、VAT非課税です。また、輸出取引は0%課税取引として規定され、課税されません(カンボジア税法第64条第2項)。
VAT納税義務者は、VAT納税義務者である相手方に請求書を発行する時は、VATインボイスの形式である必要があります(カンボジア税法第77条、VATに関する政令(Sub-Decree)第42条、VATに関する経済財政省令(Prakas)第42条)。VATインボイスには、売主、買主双方の名称、VAT番号、インボイス発行日、取引対象の内容・数量・単価等税法に規定された項目が全て記載されている必要があります。このVATインボイス発行の義務を怠った場合、税法上罰則の対象となっています(カンボジア税法第78条)。なお、買主がVAT納税義務者でない場合は、VATインボイスである必要はありません。
上記の形で買主より徴収したVATは、当月分を翌月に月次申告にて納税する必要がありますが、この申告納税時に当月中に支払ったVATを控除できます(カンボジア税法第65条第1項、仕入税額控除)。控除をする為には上記のVATインボイスを入手している必要があり、税務署によっては月次申告時にインボイスのコピーの添付が要求されています。