これまで借入金が無利息であった場合、租税総局が「みなし利率」”Deemed interest”を設定して、その利率から計算した利息について源泉徴収税(非居住者への利息支払には14%、居住者への利息支払には15%)を課税する、という実務がありました。今回公表の通達は、無利息の借入金や「市場金利」を下回る金利の借入金について、この「みなし利率」の設定やそれに基づいた課税処分を行なわない事を明確にしました。
この通達によって、借入金の金利設定について、「市場金利」を上回る設定をしない限り、その自由度が高まったと言えます。
一方、日本の親会社とカンボジア子会社との間の金銭貸借取引は、日本での移転価格税制の対象です。検討している借入と、時期や期間、条件等が同等である比較対象取引があれば、それに基づいて金利を決定する形となります。そのような取引が無い場合は、下記の順番で検討していきます。
① 借手(カンボジア子会社)が銀行等から同様の条件のもとで借り入れたとした場合に付されるであろう利率
② ①の方法が適用できない場合には、貸手(日本親会社)が銀行等から同様の条件の下で借り入れたとした場合に通常付されたであろう利率
③ ②の方法も適用できない場合には、同様の条件で国債等で運用した場合に得られたであろう利率
加えて、日本の親会社が他の海外子会社への貸付を行っている場合には、その金利との整合性に留意する必要があります。
特に、上記①に基づいて検討する場合には、カンボジアの金利水準を参照する事となる為、注意が必要です。